「議論する場」を大切に

今日の講義「人間はいかに学ぶのか」では,受講者全体でディスカッションを行いました.

設問を用意し,司会進行をしてくれたチームAの皆さんに感謝.

 

授業で時折行うディスカッションでは,徐々に発言をする人が増えてきた気がします.

しかし,まだまだ.もっともっと色々な人に議論をして欲しいと思っています.

 

何故か.

 

それは,こういった場での議論は,日常ではなかなか体験する事のできない貴重な学習の機会だからです.

この授業で行う他者との対話を通したディスカッションは,授業外で行う対話と区別することを意識しています.

 

日々の生活の中で,人と対話したり議論,協働したりする機会は数多くあります(図の黄色の部分).

色々な場所で色々な対話が起ります.自分の人生について,日常生活についてなど,テーマは多岐にわたります(灰色の部分).もちろん中には,新聞で取り上げられたビジネス関連,国際社会に関する時事問題など難易度の高いテーマが話題になることもあるでしょう(緑の部分).

 

しかし,僕からするとこれらは全て授業外でも安易にできる範囲内です.というか,別に授業でわざわざやる必要はない事なんじゃないのと考えています(少なくとも,山形大学の学生には).それに,こういう語り場みたいなのって先生がいないところのほうがざっくばらんに話せるような気がします.

 

授業が授業外と差別化できるのは

 

受講者が「学問」にふれ,大学教員という専門家をリソースとしながら議論ができるという点です.

 

僕たち大学教員は,専門的な知識・技術(しかもなるべく最先端)を研究知見の中から提供しようと試みています.知の集合体である大学だからこそできることだと思います.そして,営利活動ではなく,教育活動を行う大学(教員)は,学生さんの知的好奇心に対していくらでも応えたいという気持ちをもっています(はず).つまり,授業料云々関係なしに,学びたい人は常にウェルカムだよという姿勢をもっています.

 

日々の対話の中ではなかなか生まれないアカデミック(学問)なテーマについて議論し,学ぶ.ここに,大学教育の価値の1つがあると思います.

 

学生さんたちには,そのような場(つまり一つひとつの授業やその中での議論の機会)を大切にしてほしいですし,高いレベルの授業を教員に求めるプレッシャーをかけてもよいと思っています.それが,より大学ならではの学習環境に繋がっていくと思います.

 

そして,そういった学問を題材とした議論の中で,自己理解,他者理解や人生観に繋がるヒントが見つかるような気がしています.

 

もっと,もっと.皆さん.もっともっと,議論しましょう.知的議論を.