一時期,TVメディアでは「億稼いでますよ〜」を強烈にアピールする人たちが取り上げられていた.今でもインターネット上に多くそれらの情報が存在する.
僕は彼らの事業内容については詳しく分からないが,取り上げられ方や本人たちの語りっぷりを見ていて常に思うのは
「稼げばいいのか?」
という事だ.
「秒速1億円」
とか
「副収入で月収100万円」
という言葉は,インパクトがある.一瞬,
「え,すごい!」
と思わせる.
しかし,問題は,それらがどのようにして収入として発生したのかだ.
収入は労働に対する対価である事に間違いはないが,社会経済の変動によって仕事内容の経済的価値(収入)も多様に変わる.
一概に,「この仕事の価値は普遍的だ!」なんて断言することはできない.
そしてそのような中でも,人間はそこに自分なりの楽しさや充実感,自身の成長を求めてしまう.つまり,自分の仕事内容に対する経済的価値も大切ではあるが,それと共に人間にとって仕事と満足感や学びの実感は,切っても切り離せない関係にあるという事.
「一日かけて一万円稼いだ」
と
「1時間で一万円稼いだ」
に,価値の違いはあるのだろうか.
学生の頃,暑い中何時間もたこ焼きを焼いて稼いだ一万円は,ピピっとマウスを操作して1時間で稼いだ一万円より価値がないのだろうか.
いやいや,そんな事はない.
学生の頃,何時間もかけて稼いだ一万円は,自分自身の努力や成長,店長やお客さんとの楽しいやり取りの結晶だ.
個人的には,何分でいくら稼いだかではなく,何をして稼ぎ,それを自分がどう価値づけているのかが重要なのだと思う.少なくとも,自分はそうして生きていきたいし,学生たちには「稼げばいい」ではなく,稼ぐ事と自分の成長や社会への影響をセットで考える事ができる人材になってほしいと思う.